社内研修報告

令和7年8月 社内研修報告

●研修テーマ

災害時のトリアージについて

●目的

トリアージの学びを通して、バイタルサインの基準値や意識確認方法を理解し、災害時の 被災者や

ご利用者の状態確認・情報把握に役立たせる。

●内容

◎トリアージとは

「選別する」という意味のフランス語で、災害医療における「防ぎえた死」の低減を最大の目的としたもの。

◎トリアージが必要な状況

多数の傷病者が発生し医療の需要と供給のバランスが大きく崩れた状況では、傷病者の緊急度や重症度を

素早く見極め、優先順位をつけていくことが必要となる。

そこで、トリアージを実施し傷病者の治療や搬送順位の決定を行うことで、できるだけ多くの傷病者を

治療し「防ぎえた死」の低減につなげる。

◎トリアージを実施するにあたり

トリアージオフィサーと呼ばれる指揮者を1人立てる。なお、トリアージオフィサーは、

「現場で最も経験のあるもの」がなるとしており、必ずしも医師がなるとは限らず、災害や救急医療の

経験が深い看護師が行うこともある。

◎トリアージの種類

  ・START法

  ・ラット法

◎トリアージ/START法

  START法は「Simple Triage and Rapid Treatment」の略称で、単純かつ迅速に選定を行う

  一次トリアージとも呼ばれ、傷病者の緊急度を判定しふるい分けを行うために用い、以下の色を

  使用して識別している。

【緊急度】赤:最優先治療群(生命を救うため直ちに処置が必要)

     黄:待機的治療群(バイタルが安定し多少治療の遅れが生じても危険がない)

     緑:保留群(専門医の治療をほとんど要さない)

     黒:治療困難群(既に死亡、または心肺蘇生を施しても可能性がない)

 ◎緊急度を迅速に判断するための「ABCDアプローチ」

  ABCDアプローチとは ・気道(Airway)、呼吸(Breathing)、循環(Circulation)の状態確認

  ・意識確認(Dysfunction of CNS)の有無

  ・気道(Airway)と呼吸(Breathing)の確認

   頭部後屈顎先挙上法により気道を確保し呼吸を確認

   ~目で胸部の上下を確認し、耳で息を聞く

  ・循環(Circulation)の確認

  ~橈骨(とうこつ)動脈に手の人差し指・中指・薬指の3本を当てる。

  または、首(総頸動脈)、足のつけね(大腿動脈)

   ~バイタル確認の基準値として次の値を参考にする

    体温:36.0 ~ 37.0℃

    脈拍数:60 ~ 90回

    血圧:収縮期 120mmHg 拡張期 80mmHg

    呼吸数:12 ~ 20回/分程度(10回以下:徐呼吸、24回以上:頻呼吸)

  ・意識確認

   意識確認の評価方法のひとつに「JCS(Japan Coma Scale)」があり0から300のうち

   9つの値で表現され、0が正常で数字が大きくなるほど重度の意識障害であることを

   意味する。大きく3つのグループとその内訳から、以下のように分類される。

  Ⅰ.覚醒している      0:意識清明

                1:意識清明だがはっきりとしない

                2:名前や生年月日が言えない

  Ⅱ.刺激に応じ一時的に覚醒 10:普通の呼びかけで開眼

                20:大声、揺さぶりで開眼

                30:痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返しかろうじて開眼

  Ⅲ.刺激しても覚醒しない  100:痛み刺激に払い除ける動作

                200:痛み刺激で少し動く、または顔をしかめる

                300:痛み刺激に無反応

 ◎回復体位

  意識がなくても呼吸が確認できた場合は以下の体位をとる。

  ・頭を少し上にそらせ下顎を前に出して気道を確保する

  ・嘔吐しても流れるように口元は床に向ける

  ・上側の足を90度に曲げ姿勢を安定させる

  ・両肘を曲げ上側の手の甲を顔の下に入れる

 ◎トリアージタグの装着部位

  トリアージタグは、以下の順序でからだに装着する。

(①の部位がケガをしていたら②の部位と順番に装着部位を変更する)

  ①右手首

  ②左手首

  ③右足首

  ④左足首

  ⑤首

◆まとめ・研修結果

トリアージの概要について、理解することができた。

いつ自分自身が災害現場の立ち会うことになるかわからないので、今回学んだ知識を

少しでも活用できるように更なる学習を重ねていきたい。